By: kojima 有効: 7月 12, 2020 In: BLOG Comments: 0

今週はある作家のエッセイの紹介です。
少し、省略しながらお伝えします。

東京オリンピック(1964年)の一万メートル走に印象的な場面があった。
ある選手が、他の全ての選手がゴールに入った後に、一人遅れて走ってきた。

観客は最後まで競技を棄てなかった健闘ぶりに拍手し、
その拍手に迎えられて彼もゴールに入った。

競技はその時終わったと思われた。

だが選手は依然ゴールを突き抜けて走り、
観客があっけにとられている中を
懸命に走り続けた。

彼は完全に一周遅れをとっていたのだ。

失笑が起こり、
やがてそれは以前にも増す拍手となった。

彼が一周の遅れを取り戻し、
観衆もやれやれと思った時、
さらに彼は走ったのである。

一周ではなく二周遅れていたのだ。

折からの夕陽を受けて彼は走った。

そしてその時、
抑え難い滑稽感と共に、
私はこの人を私の友だと思った。

いつの世にも人は幸運であり続けることは出来ない以上、
志を貫くことには、
ある滑稽感のまつわることがある。

第三者の眼からは競技はすでに終わっており、
世間の関心は別な競技の方に移っているにも関わらず、
なお初志貫徹一人で走り続けねばならぬことがある。

高橋和巳

二十代に読んで感動し、
いま読み返しても心を動かされる
この文章との出会いが
私の生き方に大きな影響を与えたことが思い出されます。

人生の豊かさは喜怒哀楽をすべて足した総量だそうです。

歌、本、映画、舞台、絵画、旅、人との出会い

あなたの心を動かし、
人生を豊かにしたものは何ですか?

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