2022年7月17日記
前回の第1章「小学4年生にも分かる円安ドル高の理由、第2章「中学生にも分かる円安ドル高の理由に引き続き
第3章「高校生にも分かる円安ドル高の理由」です。
前回の投稿で日米金利差と貨幣流通量の格差が円安ドル高の原因だと説明してきました。今回は、ではなぜその原因を改善できないのかについてお伝えします。
世界の先進国中央銀行で唯一日銀だけが自国の株式市場で株を購入し続けてきました。総額40兆円近くにもなります。昨年5月に休止していますがユニクロ始め上場企業の大株主に日銀がなっています。そりゃあ、日銀が株を購入する訳ですから株価は上がりました。言うまでもなく見せかけの株価上昇です。
日銀は日本政府が発行する国債の5割も保有して、その額は500兆円にもなります。国家予算の5倍です。現在でも日銀は国債を金利0,25%で無制限に買っています。
世界の中央銀行はインフレ対策の基本である金利上昇政策を取り始めています。しかしながら、日銀はその政策をとる事ができません。もし日銀が金利を上げると次の事が起きます。市中銀行も金利を上げる事になりますから、変動金利で銀行からお金を借りている企業や住宅ローンの個人の負担が増加していよいよ不景気になります。
日本の予算は税収以上に支出額がありますから、政府は今後も莫大な国債を発行しなければ予算が組めません。そこでもし、国債の金利が上がると1%でも3.7兆円、2%ならば7.5兆円も負担が増えます。
しかしながら、金利を上げて日米金利差を解消しないと円安ドル高が止まらず物価上昇も止まりません。一方で金利を上げるとここで説明した様に社会生活に大きな影響を与えることになります。
日銀立ち往生の構図に見えるのは私だけでしょうか?
第4章「決算書が分かる人には伝わる日銀立ち往生の構図」
金利を上げないと円安ドル高も抑えられないし、物価上昇も止まりません。一般的に金利を上げると株価は下がります。日銀は金利を上げてしまうと自分が保有している大量の株価の評価損が出てしまいます。
金利を上げると通常は国債の金利も高くなります。国債は金利が低いものは価値は高く(国債価格)金利が高いものは価値は低くなります。例えて言うと金融危機の国の国債は信用が低いので金利が高くなります。
日銀が国債市場で無制限に0.25%と言う低利で国債を買い支えているのは、国債の金利が上がると日銀が大量に保有している500兆円もの国債に評価損が出てしまうからです。日銀は「国債は簿価評価」と主張されていますが、かなりの無理筋かと思います。
つまり、金利が上がると日銀は保有する株や国債の評価損が出て、債務超過に陥ってしまいます。事実、先週の一時期日銀は債務超過になりました。
あなたや私の財布の中にある紙幣は日本銀行券です。もし、日本銀行が債務超過から抜け出せなくなって国際市場からの信用を失ってしまったら、どうなってしまうのでしょうね。
もし、そうなったら日本はハイパーインフレになって庶民は塗炭の苦しみを味わうことになるでしょうが、政府の借金はチャラになります。
この話を信用するかしないかは、あなた次第です。投資行動は全て自己責任です。